むちうち以外でも14級9号

1 14級9号とは

交通事故の被害に遭われ、後遺症に悩んでいる方も多いと思います。

後遺障害は1級から14級の14等級に分かれています。

このうち、14級9号ですが、基準としては、「局部に神経症状を残すもの」という要件になっています。

典型的には、むちうち症が有名です。むちうち症の場合、神経根の圧迫が画像上明確ではない場合には、14級9号か非該当と判断されることになります。

さて、この14級9号ですが、活躍の場面は非常に多いです。

整形外科領域での説明がつかないケースであっても、症状が継続して残存している場合には、14級9号(場合によっては12級13号)が認定されることがあります。

2 可動域制限の場合

例えば、交通事故によって上肢や下肢を骨折し、これにより可動域に制限が生じた場合、健康な側と比較して4分の3に制限されたときは、12級6号あるいは7号が認定されます。同じく2分の1に制限された場合、10級10号あるいは11号が認定されます。この可動域の制限は、可動域に制限がかかった部位に、器質的損傷(身体の組織そのものに生じた損傷のこと)が見られる場合に認定されます。

逆に言えば、可動域の制限が、これ以外の原因で生じた場合には整形外科領域の12級6号ないし7号あるいは、10級10号ないし11号の後遺障害とは認められません。

交通事故により生じた痛みから、関節が拘縮して可動域が制限されたといったケースが典型的です。この場合には、可動域の制限が、健康な側と比較して4分の3や2分の1に制限されたとしても、それは神経の症状として判断されることになります。

実はこの差は大きいです。

特に、逸失利益の算定に大きな違いが出ます。

例えば、整形外科領域の12級6号あるいは7号の場合、67歳まで就労可能という計算で算出することが多いのですが、神経症状として把握された場合、12級13号だと10年、14級9号だと5年という形で制限される可能性があります。若い方の場合、非常に大きな額の差が出ることになります。

そのため、可動域の制限が認められるケースの場合、その原因とった部位に器質的損傷が無いか、医師の画像の読影によっても結論が左右される可能性があるため、慎重に検討する必要があります。

実際に、当事務所で担当した事案ですが、最初の後遺障害認定では非該当とされましたが、医師の読影に関する意見書を添付して異議申し立てをしたところ、12級6号が認定されたケースもあります。

3 可動域制限が無い場合

逆に、骨折したけれども、経過が良好で、可動域の制限等、整形外科の領域では特段の後遺障害が残存していないケースもあります。若い方の場合、治りも良いため、決して珍しくはないと思います。

このようなケースでも、例えば、しびれが残って長時間同じ動作ができないといった自覚症状は残っていることもあると思います。

こうしたケースでも、諦めないことが重要です。

冒頭で記載したように、14級9号に認定される余地は残っています。

そのためには、後遺障害診断書に自覚症状を詳細に記載してもらい、骨折等の器質的損傷と結び付けた主張を行う必要があります。

自覚症状のみというケースは難しいのですが、当事務所で担当した事案の中でも、最初の後遺障害認定では非該当とされても、異議申し立てや紛争処理機構に調停申し立てをした場合に、14級9号が認められたケースも経験しています。

したがって、骨折を負うくらいの事故だった場合には、整形外科領域に後遺障害が残存していなかったとしても、諦めず後遺障害申請の途を検討した方がよいケースも多々あるものと思われます。

後遺障害の申請でお困りの方は、是非、上山法律事務所にご相談ください。

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