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停車中の衝突事故について

2023-08-25

1 はじめに(停車中の衝突事故について)

交通事故の被害に遭われた方は、相手方の保険会社と示談交渉を行い、適切な賠償金を獲得するために努めるのが一般的です。

今回は、自分が停車しているときに衝突された事故について、考えてみたいと思います。

最近、立て続けに相談があった事故類型になります。

2 過失割合の考え方

例えば、追突事故の場合、原則は100対0と言われています。

追突事故も、前方の車両が停車中に、後続の車両が衝突するというケースが多いと思います。

では、例えば、対向車がそのまま行違うには狭くて衝突しそうになり、片方の車両が少し道路から逸れて停車していたところ、反対側の車両が進行した結果、衝突したような場合はどうでしょうか。

通常、裁判では、過失割合は、別冊判例タイムズ38という書籍を参考にすることが多いです。この中で、似ている事故類型を確認し、基本割合を踏まえて、修正を加えるという手順で検討していきます。

しかし、ぴったりと当てはまらない事例も多いです。

3 停車中という事実はどう評価されるのか

今回のような、停車中の衝突事故の場合、衝突された被害者の側からすれば、事故は避けられないですし、停車しているところを衝突されたわけなので、過失割合は100対0ではないかと主張される方が多いです。

これは、私どもとしても、感覚的には当然のことなのかなと思っています(実際に、自分がそのような事故に遭えば、どうして自分に過失があると評価されるのか理解できないと思います)。

ところが、実際の示談交渉の現場や、裁判では、100対0という認定に持って行くのはかなり難しいのが実情です。

先の追突事案と異なるのは、追突事案は、基本的な過失割合がそもそも100対0であるとされているのに対し、先の例の停車中の衝突事故等は、基本が100対0とは考えられていないからです。

先ほどの、基本から修正を加えるという点についてですが、例えば、加害者側に著しい過失がある場合には、加害者の過失を10%加算する、重過失があると20%加算するといった形で処理していくことになります。

正解は私どもも分かりませんが、停車しているところに衝突したという事実は、これらの修正要素の中で考慮されるという考えになるのだと思っています。

したがって、これらの修正を加えてもなお、100対0にならない場合には、その主張は難しいという形になります。

4 まとめ

停車中に衝突された事故の場合、どうしても過失割合に納得ができないという方が多いと思います。

100対0の主張にハードルがあるのは事実ですが、追突事故でなくても、そもそもの事故類型に、修正を加えれば100対0になるという事案もあると思います。

上山法律事務所では、このような事案も多く扱っていますので、お困りの方は、是非、上山法律事務所までご相談ください。

交通事故と刑事事件

2022-09-01

1 交通事故の発生と警察への報告義務

交通事故が発生すると、道路交通法上、警察への報告義務があります(これをしないと3か月以下の懲役または5万円以下の罰金に処せられる可能性があります)。

警察に事故を報告すると、警察が事故現場に訪れて、事故状況を確認します。

警察が作成する事故状況に関する報告書は、交通事故の被害者にとって、今後の交渉や裁判において、非常に重要な意味を持つことがあります(特に、過失割合が争われるケースで重要です)。

2 物損事故の場合

物損事故の場合は、物件事故報告書という簡単な事故状況の図面を作成して終了します。これは事故の詳細までを明らかにしたものではない簡易なものではありますが、それでも、事故態様の一部が明らかになることはあります。

過失割合が問題となるケースは、私どもの感覚では、物損事故の方が多い印象です。

保険会社が間に入ると、以前、このコラムの「物件事故について」でも記載したように、保険会社は、加害者から事情を直接聴き取りすることなく示談交渉を進めるケースもあります。その場合に、事故当時に加害者と確認したことを、後から保険会社が大きく覆した場合に、証拠として使える場合もあります。

3 人身事故の場合

より重要なのは、人身事故の場合です。この場合には、警察が実況見分調書という書類を作成します。

双方が立ち会って、認識の相違なく作成されればよいのですが、必ずしもそうなっていないケースがあります。

例えば、被害者が重症ですぐに病院に運ばれて入院することになってしまったケース等では、加害者のみ事故現場に立ち会う形で、加害者の認識を前提に実況見分調書が作成されてしまうことがあります。

保険会社は、基本的にはこの実況見分調書を前提に過失相殺を検討することになるため、交通事故の被害者側の認識と異なる場合に、覆すことが難しくなります。

そのため、当事務所では、交通事故発生の初期からご依頼をいただき、実況見分が実施される際に、被害者の代理人として、被害者と共に現場に立ち会うといったことも行ってきました。民間の交通事故鑑定会社に依頼をして、実況見分調書の事故態様はおかしいと主張し、当方の認識する事故態様に近い形で裁判所から事実認定を受けることができた事案もあります。

4 まとめ

交通事故の被害に遭われた方は、事故直後から不安な毎日を過ごされていると思います。

警察への対応、保険会社への対応と分からないことばかりではないでしょうか。

特に、過失割合が0対100ではないケースの場合には、今後の過失相殺の検討に当たって、事故状況・事故態様が正確に把握されることは非常に重要です。

上山法律事務所では、事故直後から、あらゆるアドバイスができる体制を整えておりますので、交通事故の被害に遭われてお困りの方は、是非、ご相談ください。

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