交通事故と刑事事件

1 交通事故の発生と警察への報告義務

交通事故が発生すると、道路交通法上、警察への報告義務があります(これをしないと3か月以下の懲役または5万円以下の罰金に処せられる可能性があります)。

警察に事故を報告すると、警察が事故現場に訪れて、事故状況を確認します。

警察が作成する事故状況に関する報告書は、交通事故の被害者にとって、今後の交渉や裁判において、非常に重要な意味を持つことがあります(特に、過失割合が争われるケースで重要です)。

2 物損事故の場合

物損事故の場合は、物件事故報告書という簡単な事故状況の図面を作成して終了します。これは事故の詳細までを明らかにしたものではない簡易なものではありますが、それでも、事故態様の一部が明らかになることはあります。

過失割合が問題となるケースは、私どもの感覚では、物損事故の方が多い印象です。

保険会社が間に入ると、以前、このコラムの「物件事故について」でも記載したように、保険会社は、加害者から事情を直接聴き取りすることなく示談交渉を進めるケースもあります。その場合に、事故当時に加害者と確認したことを、後から保険会社が大きく覆した場合に、証拠として使える場合もあります。

3 人身事故の場合

より重要なのは、人身事故の場合です。この場合には、警察が実況見分調書という書類を作成します。

双方が立ち会って、認識の相違なく作成されればよいのですが、必ずしもそうなっていないケースがあります。

例えば、被害者が重症ですぐに病院に運ばれて入院することになってしまったケース等では、加害者のみ事故現場に立ち会う形で、加害者の認識を前提に実況見分調書が作成されてしまうことがあります。

保険会社は、基本的にはこの実況見分調書を前提に過失相殺を検討することになるため、交通事故の被害者側の認識と異なる場合に、覆すことが難しくなります。

そのため、当事務所では、交通事故発生の初期からご依頼をいただき、実況見分が実施される際に、被害者の代理人として、被害者と共に現場に立ち会うといったことも行ってきました。民間の交通事故鑑定会社に依頼をして、実況見分調書の事故態様はおかしいと主張し、当方の認識する事故態様に近い形で裁判所から事実認定を受けることができた事案もあります。

4 まとめ

交通事故の被害に遭われた方は、事故直後から不安な毎日を過ごされていると思います。

警察への対応、保険会社への対応と分からないことばかりではないでしょうか。

特に、過失割合が0対100ではないケースの場合には、今後の過失相殺の検討に当たって、事故状況・事故態様が正確に把握されることは非常に重要です。

上山法律事務所では、事故直後から、あらゆるアドバイスができる体制を整えておりますので、交通事故の被害に遭われてお困りの方は、是非、ご相談ください。

keyboard_arrow_up

0992277711 問い合わせバナー 無料法律相談について