1 はじめに
交通事故の被害者の方が、有職者の場合には、事故によって仕事を休んだりした場合、休業損害の請求を検討することになります。
休業損害の計算は、「1日あたりの基礎収入×休業日数」で算出されます。
会社員の場合、本サイトhttps://kagoshima-koutsujiko.com/kaisya_jiei_songai/においても、計算方法を紹介させていただきました。
ここでは、交通事故の被害者の方が、会社員の場合の基礎収入に関する考え方について、もう少し突っ込んだ内容に踏み込んでいきたいと思っています。
まず、交通事故の被害者の方が会社員の場合、多くは「直近3か月分の平均給与」から1日当たりの基礎収入額を算定します。
基礎収入に関して、ベースになるのは「手取り額」ではなく税金や健康保険料を引く前の「総支給額」です。
ここまでは、本サイトの上記ページで記載した通りです。
問題は、この総支給額を前提にどう計算するかです。
2 1日当たりの基礎収入の考え方
まず、事故前3か月の給与を合計して、90日で割るという考え方があります。これがおそらく一番多い計算方法ではないでしょうか。もちろん、間違っているわけではありません。
しかし、細かく考えていくと以下の問題があります。
事故前3か月の給与を合計するという点に関して、年収ベースで見たときには、賞与が反映されていないのではないかという問題があります。
場合によっては、前年度の源泉徴収票の総支給額を365日で割り算した方が高くなるということもあると思います。
また、90日で割るという点ですが、これは、もともと休日であった日も含んで平均額を算出することになります。休日を含まない実労働日1日当たりの平均額とすれば、90日で割るより日額は高く算出されます。
以上の通り、計算方法によって違いが出ることを頭に入れておく必要があります。
3 休業日数について
基礎収入のところで、休日を含まない実労働日1日当たりの平均額で基礎収入を算出した場合には、実際の休業日数を乗じることになると思います。
一方、基礎収入のところで、休日であった日も含んで平均額を算出した場合には、休業期間をもって休業日数と算出することになると思います(源泉徴収票の年収を365日で割るのも同様の考え方になると思われます)。
休日を休日であった日も含んで平均額を算出した場合に、実際の休業日数を乗じると、収入日額が低くなり、休業損害が過少になってしまいます。
4 まとめ
交通事故の被害者が、事故前の具体的な稼働日数、支払いを受けた給与の金額を認定できる場合には上記の差異を考慮して計算しないといけません。
日給制で働いている方の場合にはなおさらです。
最近、当事務所では、交通事故の被害者の方が、保険会社から内払のあった休業損害の考え方に疑問を持っているという形で相談に来られたケースが続きました。
世の中には、疑問を持たずに示談してしまっているケースもあると思います。
休業損害を含む示談交渉でお困りの場合、是非、上山法律事務所にご相談ください。