1 はじめに
交通事故の被害に遭われた方は、相手方の保険会社と示談交渉を行い、適切な賠償金を獲得するために努めるのが一般的です。
死亡事故が発生した場合、被害者の相続人は悲しみに暮れる日を送ることになります。四十九日が明けると、相手方の保険会社も示談の提案をしてきます。
事案が事案なだけに、神妙な態度で提案をしてきますが、提案内容を確認しないままに印鑑を押していいのでしょうか。
高齢者の死亡事故の場合、給与収入や年金収入の逸失利益と死亡慰謝料が問題となります。
本日は、このうち、死亡慰謝料についてお話します。
2 死亡慰謝料
死亡慰謝料について、自賠責の基準、任意保険会社の基準、裁判基準と3つの基準があります。某保険会社は、被害者側に弁護士がついていないと、一番低い自賠責の基準で提案をしてきますが、その他の保険会社は、任意保険会社の基準で提案してきます。
自賠責よりは高額ですが、裁判基準よりは低額です。
訴訟に至らずに示談で解決をしようとすると、裁判基準の8~9割のラインでの解決が多い印象ですが、高齢者の場合、さらに注意する必要があります。
まず、死亡慰謝料の裁判基準ですが、以下の通りとされています。
・一家の支柱である場合 2800万円
・母親、配偶者の場合 2500万円
・その他 2000万円~2500万円
一家の支柱の意味については、このコラムでも以前、記載したことがあります。
一家の支柱とは | 鹿児島で交通事故・後遺症でお困りなら無料法律相談対応の弁護士法人かごしま上山法律事務所にお任せください (kagoshima-koutsujiko.com)
以上が、裁判基準です。したがって、これらの金額を前提に、訴訟をしないという前提であれば、どのくらいのラインで示談をするかを検討することになります。
交通事故の被害者の方が高齢の場合、子育てをしている世帯と比較すれば、一家の支柱かどうかについては争われやすくはなります。
また、交通事故の被害者の方に基礎疾患等があり、これも複合的に関連して亡くなってしまったというケースの場合には、素因減額という形で過失相殺的な処理がなされることもあります。
では、そのような事情はなく、交通事故を原因として即死をしてしまったような場合にも、高齢=余命が短いことから慰謝料額は減額されるべきだと主張された場合にはどうでしょうか。
裁判例では、そのような考え方は否定されております。
ただ、保険会社の側が、意図的に低い金額で慰謝料の額を提案してくることがありますので、注意が必要です。
3 まとめ
以上のとおり、高齢者の方の死亡慰謝料について述べてきました。
上山法律事務所では、死亡事故も多く対応してきておりますので、交通事故の被害に遭われた方、あるいは、そのご遺族の方でお困りの方は、是非、上山法律事務所までご相談ください。