高齢者の逸失利益(年金)について

1 はじめに(高齢者の逸失利益(年金)について)

交通事故の被害に遭われた方は、相手方の保険会社と示談交渉を行い、適切な賠償金を獲得するために努めるのが一般的です。

死亡事故が発生した場合、被害者の相続人は悲しみに暮れる日を送ることになります。四十九日が明けると、相手方の保険会社も示談の提案をしてきます。

事案が事案なだけに、神妙な態度で提案をしてきますが、提案内容を確認しないままに印鑑を押していいのでしょうか。

高齢者の死亡事故の場合、給与収入や年金収入の逸失利益と死亡慰謝料が問題となります。

本日は、このうち、年金収入の逸失利益についてお話します。

死亡慰謝料については、以下の投稿があります。

2 年金の逸失利益性

年金の逸失利益性について、老齢基礎年金や老齢厚生年金等の老齢年金,退職共済年金等の退職年金,障害基礎年金や障害厚生年金等の障害年金については,逸失利益性が肯定されますが,遺族厚生年金や軍人恩給の扶助料等の遺族年金については,逸失利益性が否定されます。

逸失利益性が認められる年金の計算式については、以下の通りです。

【年金年額×(1-生活費控除率※①) ×生存可能年数に対応するライプニッツ係数※②】

①の生活費控除率は、男性については30~50%程度(一家の支柱で30~40%、独身で50%程度)、女性については30%程度とされることが多いですが、年金生活者の場合は,年金収入に占める生活費の割合は高まるのが一般的なので,生活費控除率は50%~70%に引き上げられることが多いです。

②のライプニッツ係数は、例えば67歳を超える方の場合は、平均余命の2分の1とされていますが、年金の場合には2分の1の差し引きはありません。

このように、通例の死亡逸失利益と比べて、計算式がやや異なっているので、注意が必要です。

3 まとめ

以上のとおり、高齢者の方の逸失利益(年金)について述べてきました。

上山法律事務所では、死亡事故も多く対応してきておりますので、交通事故の被害に遭われた方、あるいは、そのご遺族の方でお困りの方は、是非、上山法律事務所までご相談ください。

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