1 はじめに
交通事故の被害に遭われて、お怪我の程度が大きく、入院を要する方もいらっしゃると思います。
入院中に必要な入院費、治療費については、原則として、加害者の加入する保険会社に負担してもらうことになります。
では、入院中に掛かった諸経費についてはどうでしょうか。
法律的には、これを入院雑費といいます。
2 入院雑費とは
日常雑貨品(衣類等)、栄養補給品、通信費(電話、郵便等)、文化費(新聞、雑誌、テレビ利用券代等)等、かなり広範囲の雑費を含んでいます。
この入院雑費ですが、基準となる金額が低額化されています。
例えば、自賠責保険の基準では、1日当たり1100円とされています。
裁判基準では、1日当たり1500円とされています。
このように定額化された金額を請求する場合には、領収書は必要ありません。
実際の示談交渉の場面では、保険会社側は、裁判基準の1500円ではなく、1100円で提示してくることが多い印象です。
入院期間が少なければ、結論に大きな影響はないかもしれません(それよりも、慰謝料の方が裁判基準と保険会社の提案額に大きな差があることがほとんとで、主戦場はそちらになっている事案が多いのではないでしょうか)。
ただ、重症で入院期間が長かったり、骨折後にボルトを入れており、除去のために複数回入院し、結果として入院期間が累積的に長い日数になった場合等は、見過ごせない差になることもありますので、注意が必要です。
3 基準を超える場合
明らかに上記の日額の基準では足らず、定額化された金額を超えるというケースもあると思います。
入院雑費は、入院によって通常必要であると考えられるものを念頭に置いています。場合によっては、通常の範囲を超えて入院雑費を支払わなければならないことも考えられます。
このような定額の入院雑費以外にも、必要かつ妥当な実費が、個別に損害として認定される余地があります。そのため、領収書等を保管しておく必要があります。
重度後遺障害が残存した場合のおむつ代等、裁判例で認められているケースもあります。
4 まとめ
以上の通り、交通事故の被害に遭われた方に、保険会社から損害の提示があった際、特に疑問を抱くことなく、入院雑費を眺めていらっしゃるかもしれません。
本当はもっと支出していたはずだと疑問に思われたりした場合には、是非、上山法律事務所にご相談ください。