1 はじめに
交通事故の被害に遭われた方は、相手方の加入する任意保険会社と示談交渉を行い、適切な賠償金を回収するよう努めるのが一般的です。
当事務所では、様々な交通事故案件のご依頼を受けて参りました。当事務所の取り扱い業務は、交通事故に限られるものではなく、離婚・相続といった家事事件や、破産・再生等の債務整理事件、労働事件、不動産・建築事件、医療過誤といった、いわゆるマチ弁と言われる弁護士が扱う事件は全て対応しています。
加えて、基本的には、いただいたご依頼については、特段の事情のない限りはお受けしていきたつもりであり、これは交通事故案件も同様です。
しかし、どうしても、依頼を躊躇する、あるいは、お断りしなければならないと判断するケースもあります。
以下では、交通事故案件の場合でご説明します。
2 ご依頼をお受けしにくいケース
以前、本サイトでも投稿しましたので、こちらもご参照ください。
以下で述べるものは、いずれも弁護士特約に加入していないことが前提です。弁護士特約に加入していれば、ご依頼を受けることに基本的には躊躇はありません。
①物損事故で、弁護士特約に加入していないケース
物損事故は、過失割合が問題になるか、経済的全損の時価額が問題になっていることが多いと思いますが、弁護士費用を手出しすることになる場合には、その額と比較検討する必要があると思います。
②依頼者の過失が大きく、挽回できる余地があるか微妙な場合
これについても、ご自身で被害者請求をすることをお勧めしています。自賠責は7割以上の過失の場合しか減額されないため、交通事故の被害者の方に過失が大きい場合には、自賠責に請求するのが一番回収額が大きくなる可能性もあるためです。
③人損の被害者ではあるものの、すでに保険会社から事前提示がなされている金額より、弁護士費用の方が上回るケース
このようなケースも該当します。
後遺障害が問題とならない事故、あるいは、非該当になっている事故の場合には、このようなケースもあり得ます。
ただ、このケースの場合には、後遺障害の非該当の判断に納得ができないということで、異議の申し立てをしたいという相談から対応することもあります。この場合も、新たに主治医から意見書を作成してもらう等の協力が得られるか等、異議申し立ての可能性がどの程度あるかを見極めて検討することになります。
一方、後遺障害が認められているケースの場合には、弁護士費用を手出ししてでも依頼をした方がメリットのある事案も多いと思います。
3 まとめ
以上のとおり、弁護士の側も、せっかくご相談いただいた案件について、依頼を受けるか躊躇する案件があります。
それは、弁護士費用特約に加入しておらず、ご依頼を受けると、経済的には赤字になってメリットが無い場合です。
ただ、弁護士特約に加入していなくても、保険会社との交渉に疲れて、費用が赤字になっても弁護士に依頼したいという方もいます。
相手方が保険会社や弁護士を交渉窓口としておらず、相手方本人が交渉してきて話し合いがうまく進まないため、ストレスを感じて弁護士に依頼したいといったケースもあります。
そのため、ご自身の状況を踏まえて、まずは相談だけでも弁護士にしてみることをお勧めします。
交通事故の被害に遭われて、お困りの方は、上山法律事務所にご連絡ください。