交通事故と刑事事件②

1 はじめに

交通事故の被害に遭われた場合、警察に事故の連絡をして、現場の確認をすることになります。

物損の場合には、物件事故報告書が、人損の場合には、実況見分調書を作成することは、以前のコラム

https://kagoshimakoutsujiko.com/%e4%ba%a4%e9%80%9a%e4%ba%8b%e6%95%85%e3%81%a8%e5%88%91%e4%ba%8b%e4%ba%8b%e4%bb%b6/

で記載しました。

刑事事件との絡みで見ると、物損事故の場合には、加害者が罰せられることはありません(器物損壊罪は、故意=わざと壊した場合にのみ成立します)。

人損事故の場合には、加害者が被疑者となって捜査が進んでいくことになります。

本日は、刑事事件の流れをご説明します。

2 刑事事件の流れ

まず、刑事事件として裁判にかけるかどうかは、日本の法律では、検察官が判断することになっています。

交通事故の被害者の方のお怪我の程度がそれほどでもない場合には、警察は、微罪処分として検察に送らないで終わることもあるかもしれません。

検察に事件を送る場合には、書類送検という言葉と身柄送検という言葉があります。

書類送検は、加害者=被疑者の方を逮捕勾留することなく、在宅事件として扱う場合です。逆に逮捕勾留されている場合には、身柄を確保した状態で検察に送っているので、身柄送検という言い方になります。

その後の手続の流れですが、警察や検察の捜査の結果、最終的に検察が起訴(裁判にかけるかどうか)を決めます。

身柄送検されている事件の場合には、勾留期間が原則10日間、事情があれば一度だけ延長ができてもう10日の最大20日の間に捜査を済ませて起訴するかどうかを決めます(逮捕から勾留まで72時間の制約があり、逮捕時点からすると、最大23日ということになります)。

一方、在宅事件の場合には、この期間の制約がありません。検察官が、事件から裁判にかけるまでに公訴時効という概念があるのですが、この期間内であればよいということになります。参考までに、過失運失致傷罪(ケガをさせてしまった場合)の場合には5年、過失運転致死罪(死亡させてしまった場合)の場合には10年が公訴時効となっています。

交通事故案件の場合、被害者の方が死亡した事件であっても、逮捕勾留されていない事案はよく見かけます。お怪我の案件であればなおさらです。

上山法律事務所では刑事事件も扱っており、弁護人として交通事故の加害者側の刑事事件にも関与していますが、在宅事件が圧倒的に多いです。

したがって、刑事事件という観点からみると、警察や検察の捜査にかなり時間が掛かる案件が多いということになります。

交通事故の被害者の方が骨折した場合で、事故から半年以上経過していたり、1年くらいかかっているケースもざらにあります。

捜査が終了すると、検察が処分を決めます。不起訴にする場合もありますが、起訴する場合には、通常の公開法廷での裁判にかける場合と、略式起訴といって、罰金を言い渡す簡単な裁判手続にかける場合もあります。

私どもの刑事事件の経験からすると、交通事故の被害者の方が骨折等を負っている場合には、事故の予見可能性に疑義があるような事件でない限り、正式裁判にかかって、執行猶予付きの判決になるケースが多いと思います。死亡事故の場合にも同様で、実刑判決になるのは特殊要因があるような事案だと思います。

3 被害者の関与

では、上記刑事事件に、被害者はどのような形で関与するのでしょうか。

実況見分への立会を求められることもありますし、警察や検察官から、被害者として事故の状況や被害感情を確認され、供述調書の作成協力を求められます。

裁判のなった場合には、事案によっては検察官の側の証人として出廷し、証言の協力を求められることもあります。

被害者として公判に参加して意見を述べることもできます(被害者参加といいます)。

4 まとめ

交通事故の被害に遭われた方が、刑事事件として警察や検察に協力を求められた場合、民事事件の示談にどう影響するのかといったことも頭をよぎると思います。

上山法律事務所では、刑事事件の弁護人の経験も踏まえて、交通事故の被害者の方のサポートをすることができます。

お困りの方は、是非、上山法律事務所までご相談ください。

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