1 はじめに(停車中の衝突事故について)
交通事故の被害に遭われた方は、相手方の保険会社と示談交渉を行い、適切な賠償金を獲得するために努めるのが一般的です。
今回は、自分が停車しているときに衝突された事故について、考えてみたいと思います。
最近、立て続けに相談があった事故類型になります。
2 過失割合の考え方
例えば、追突事故の場合、原則は100対0と言われています。
追突事故も、前方の車両が停車中に、後続の車両が衝突するというケースが多いと思います。
では、例えば、対向車がそのまま行違うには狭くて衝突しそうになり、片方の車両が少し道路から逸れて停車していたところ、反対側の車両が進行した結果、衝突したような場合はどうでしょうか。
通常、裁判では、過失割合は、別冊判例タイムズ38という書籍を参考にすることが多いです。この中で、似ている事故類型を確認し、基本割合を踏まえて、修正を加えるという手順で検討していきます。
しかし、ぴったりと当てはまらない事例も多いです。
3 停車中という事実はどう評価されるのか
今回のような、停車中の衝突事故の場合、衝突された被害者の側からすれば、事故は避けられないですし、停車しているところを衝突されたわけなので、過失割合は100対0ではないかと主張される方が多いです。
これは、私どもとしても、感覚的には当然のことなのかなと思っています(実際に、自分がそのような事故に遭えば、どうして自分に過失があると評価されるのか理解できないと思います)。
ところが、実際の示談交渉の現場や、裁判では、100対0という認定に持って行くのはかなり難しいのが実情です。
先の追突事案と異なるのは、追突事案は、基本的な過失割合がそもそも100対0であるとされているのに対し、先の例の停車中の衝突事故等は、基本が100対0とは考えられていないからです。
先ほどの、基本から修正を加えるという点についてですが、例えば、加害者側に著しい過失がある場合には、加害者の過失を10%加算する、重過失があると20%加算するといった形で処理していくことになります。
正解は私どもも分かりませんが、停車しているところに衝突したという事実は、これらの修正要素の中で考慮されるという考えになるのだと思っています。
したがって、これらの修正を加えてもなお、100対0にならない場合には、その主張は難しいという形になります。
4 まとめ
停車中に衝突された事故の場合、どうしても過失割合に納得ができないという方が多いと思います。
100対0の主張にハードルがあるのは事実ですが、追突事故でなくても、そもそもの事故類型に、修正を加えれば100対0になるという事案もあると思います。
上山法律事務所では、このような事案も多く扱っていますので、お困りの方は、是非、上山法律事務所までご相談ください。