後遺障害の申請のための治療継続

1 はじめに
交通事故の被害に遭われた方は、相手方の保険会社と示談交渉を行い、適切な賠償を受けることを目指すというのが一般的です。
交通事故によってお怪我を負った場合、後遺障害が残存すれば、後遺障害の認定結果が出てから、後遺障害が残存しなくても、いわゆる症状固定により通院が終了してから、損害を確定させて示談交渉に入ります。
つまり、後遺障害が残存していると考える場合には、その申請を行う必要があります。

2 通院期間はどの程度必要と言われているか
一番典型的なむちうち症状(14級を狙う場合)を例にとってお話をすると、概ね、事故から3か月~6か月くらいが通院期間とされています。
後遺障害の認定のためには、6か月程度の通院期間が必要とされています。
そのため、保険会社が3か月とか、6か月を経過する前に治療費を打ち切ると言ってきた場合には、健康保険に切り替えて、3割を自費で負担して通院を継続する必要があります。
しかし、ここで、問題が生じることがあります。

3 医師側とコミュニケーションがとりにくい場合
主治医が、後遺障害の申請の実務に慣れていなかったり、むちうち診療に好意的でない場合があります。
例えば、保険会社が治療費を打ち切った場合、その時点が症状固定だと考えている医師がいます。症状固定かどうかは、保険会社が決めるのではなく、医学的な立場から医師が判断すべき事柄です。私どもが依頼を受けた案件では、打ち切り後に数か月、自費で治療を継続して後遺障害診断書を作成してもらった際に、保険会社が治療費を打ち切った時点を症状固定だと判断を変えない医師がいました(そうであるなら、何故、継続して治療をするのか分かりませんし、その依頼者の事案では、保険会社が治療費を打ち切った後に、治療方針を変更したという案件でした)。
症状固定の時期により、請求できる治療費や慰謝料の額に影響があります。

もっとひどいケースでは、むちうち診療に好意的でなく、「うちの病院はむちうちは3か月で治療が終了します」等といい、明らかに依頼者が治療の継続を希望しており、保険会社もまだ数か月間、治療を継続しても構わないと言ってるにもかかわらず、医師の方が治療を中止するということもあります。
このような場合には、早めに転院をすることをお勧めします。
結果、その医師に後遺障害診断書の作成をお願いしても、どのような内容になるかは想像がつくからです。

後遺障害診断書の自覚症状の欄を白紙で作成するという医師にも会ったことがあります。他覚的所見欄以外は、単なる患者の主訴であり意味がないという考えのようです。
しかし、むちうちでは、自覚症状の一貫性が重要であることもあります。

4 まとめ
以上見たように、後遺障害の申請に当たり、通院期間・経過は重要です。
しかし、病院の側とのコミュニケーションが取れない場合にもあります。
そのような状況の中でも、何とか最善策を見つけないといけません。
お困りの方は、是非、上山法律事務所にご相談ください。

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