1 はじめに
交通事故は、自動車事故に限られません。
自転車と歩行者、歩行者同士の事故等も、広い意味では交通事故に当たります。
これらの中でも、本日は、歩行者同士の事故について、書いて行きます。
当事務所でも、歩行者同士の交通事故については、何度か相談を受け、正式にご依頼を受けて対応したこともあります。
歩行者同士の交通事故は、被害者が高齢者である場合が多く、交通事故ほどの衝撃や事故態様ではないにしても、決して簡単には行かないことが多いです。
2 保険未加入のケースが多い
交通事故の中でも、歩行者同士の事故の場合には、自動車事故とは異なり、保険を利用することができないことが多い印象です。
もちろん、加害者側が傷害保険に加入していれば、利用できる可能性はあるのですが、一般的には、傷害保険の加入率はまだまだ低いかなと感じています。
自動車事故と異なって、自賠責という制度もありません。
したがって、被害者としては、保険からの支払いが望めない可能性が高いことから、加害者から直接支払ってもらう必要があります。
逆に、加害者としては、全て手出しになる可能性がある前提で、交渉に臨む必要が出てきます。
3 後遺障害の認定機関がない
前述したように、被害者は高齢者が多い印象です。私どもで対応した事件は、歩行中に衝突し、倒れ方が悪くて骨折したというものでした、被害者自身にも骨粗しょう症があったことから、被害が拡大したという側面も否定できず、治療期間も長期化しました。
最終的に、後遺障害が残存していると考えられるケースでも、自動車事故の場合のように、自賠責に後遺障害の認定を求めることができません。
そのため、現在の症状から、自賠責の基準を利用して評価していくということにならざるを得ません。
4 過失相殺も問題になりやすい
歩行者同士の交通事故の場合、自動車事故の追突やセンターラインオーバーなどと異なり、過失割合が0対100になるケースは少ないと思います。
そうすると、過失割合を検討する必要がありますが、自動車事故の場合のように寄って立てるものがありません。
判例の蓄積も少ないと思います。
5 損害の拡大と素因減額を検討する必要がある
損害の算定においても、事故の被害者が高齢の場合には、事故態様から見た場合に症状が重いことも多いことから、どこまでを事故が原因だと考えるか、専門的な言い方をすると、素因減額をどうするかという点も問題になってきます。
6 まとめ
以上のような事情から、歩行者同士の事故は、交通事故ほどの事故の衝撃が無かったとしても、簡単には行きません。
交通事故の被害者の側からすれば、保険未加入の状況が多いと、損害賠償金の回収にリスクが生じます。
また、後遺障害、過失割合、素因減額といった問題になりやすい争点について、評価の基準に明確なものがありません。
そのため、示談交渉は非常に難しい印象を受けます。
当事務所では、歩行者同士の交通事故の解決事例があります。
お困りの際には、是非、上山法律事務所にお問い合わせください。