1 はじめに(事故状況の証拠の収集について)
交通事故の被害に遭われた方は、相手方の加入する任意保険会社と示談交渉を行い、適切な賠償金を回収するよう努めるのが一般的です。
ただ、その前提として、事故の状況が争われることがあります。
過失相殺や、通院経過についての互いの主張の前提として重要な意味を持ちます。
当サイトの以下のコラムで、警察の作成する実況見分調書や、物件事故報告書のことをお伝えしました。
【交通事故と刑事事件】
2 より直接的な証拠は?
上記のうち、実況見分調書については、確かに、証拠としての価値が大きいことは否定できません。ただ、作成の際に、被害者が入院していたりすると、立ち会えずに加害者側の認識にのみ基づいて作成されることもあります。
その意味で、疑義が生じることもあるでしょうか。
では、より直接的な証拠はあるでしょうか。
例えば、ドライブレコーダーは、有力な証拠の一つです。現在、だいぶ普及はしていますが、被害車両、加害車両共に設置されていないことも有り得ます。加害者にのみ設置されていた場合に、任意に開示してくれるかということもありうると思います(相手方の保険会社がすでに確保している場合には、協力してくれることが多い印象です)。
その他では、事故の現場次第では、別の手段で入手できる余地があります。
例えば、店舗の駐車場内で発生した事故の場合、その店舗に防犯カメラが設置されていることがあります。当該事故が刑事事件になっていれば、警察からすぐさま協力を求められていると思いますが、被害者側が民事事件で使用することを理由としてその防犯カメラ映像の提供を求めても、警察は協力してくれないと思われます。
そこで、店舗に直接、防犯カメラの提供をお願いするということがあり得ます。
最近、当事務所でもそのような事案がありました。
そのケースでは、店舗が、弁護士会を通じた照会(いわゆる23条照会)を求めてきましたので、そのような手続でお願いしました。
3 まとめ
以上のとおり、事故状況の証拠の収集方法には工夫の余地があります。
必ずしも弁護士会を通じて照会しなければならないはずですが、それを求めてくることもありますので、その場合には、どうしても弁護士に依頼をせざるを得ません(ただ、弁護士会を通じた照会を行うことのみを目的として受任することはできず、この場合には、示談交渉事件として依頼を受けることになります)。
上山法律事務所では、このような対応も多数経験してきておりますので、交通事故の被害に遭われてお困りの方は、是非、上山法律事務所までご相談ください。