1 はじめに(逸失利益についてのおさらい② 未就労年少者の場合)
交通事故の被害に遭われた方は、相手方の保険会社と示談交渉を行い、適切な賠償金を獲得するために努めるのが一般的です。
交通事故の被害に遭われた方が亡くなってしまったり、後遺障害が残存したりした場合、逸失利益が問題となります。
逸失利益とは、その被害者において事故がなければ得られたはずの将来の利益のことをいいます。 逸失利益は、基本的には将来の収入を現在に割り戻して算出します。
これまで、本サイトのページやコラムでも、以下の通り、たくさん投稿してきています。
今回はは、未就労年少者の逸失利益についておさらいしたいと思います。
【後遺障害の逸失利益】
【高齢者の逸失利益(年金)について】
【逸失利益のおさらい①】
2 未就労年少者の後遺障害逸失利益
後遺障害の逸失利益は、原則として、「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」で計算されます。
未就労年少者の場合、「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」が、症状固定時から67歳までの年数に対応するライプニッツ係数から、症状固定時から就労開始までの年数に対応するライプニッツ係数を差し引いたライプニッツ係数を乗じて算定します。
「基礎収入」について、 年少男子の場合、原則として、男性労働者の全年齢平均賃金(以下「平均賃金」といいます)を基礎とします。
年少女子の場合、男女を合わせた全労働者(以下「全労働者」といいます)の平均賃金を基礎とします。
医学部、看護学部、薬学部等で専門教育を受けている学生については、特定の職業に就く蓋然性が認められる場合、職種別の平均賃金を基礎とします。
また、大学生等又は大学等への進学の蓋然性が認められる場合、大学卒等の平均賃金を基礎とすることもあります。
しかし、これには注意が必要です。年少者の基礎収入を大学卒の平均賃金とした場合には、就労開始の時点が変わります。高校卒であれば18歳からになりますが、大学卒だと22歳からになります。そのため、大学卒の方が、平均賃金が高いから有利になるかというと、単純にそうではありません。
この点は間違いが起きやすいので、しっかりとシュミレーションをしてから検討すべきです。
3 まとめ
以上のとおり、未就労年少者の後遺障害の逸失利益について述べてきました。
基礎収入について、職種別や大学卒で検討すべきかは、よく考える必要があります。計算もきちんと専門家に行ってもらい、正確な金額を算出してもらった方が安心です。
上山法律事務所では、後遺障害事案も多く対応していますので、交通事故の被害に遭われた方、あるいは、そのご遺族の方でお困りの方は、是非、上山法律事務所までご相談ください。